訴訟 とはどのようなときに利用するものですか。
答え 相手方が全面的に争う姿勢を見せている場合など、簡易な手続きでは解決しない場合などの最終手段とすべきものです。
最終手段
裁判所を利用した法的手段による回収方法は、他の項で解説されている通り、支払督促や民事調停など、簡易な手続きもありますが、相手方が全面的に争う姿勢の場合などは、そのような簡易な手続きを利用しても通常訴訟に移行してしまうことになります。そうなれば、簡易な手続きの際の費用が無駄になってしまいかねませんので、そのような場合は初めから通常訴訟を提起し、本格的に争っていくことになります。
後述の通り、訴訟には時間も費用も相当程度かかりますので、他の簡易な方法によることをまずは検討し、それらでは解決しないと思われる場合に最終手段として用いるべきものといえます。
訴訟 の留意点
訴訟 を利用すべきかどうか判断するにあたっての留意点としては、
- 訴訟を起こすメリット・デメリット
⇒支払督促等で回収できないか。 - 勝訴の見込みの有無
⇒争っている相手の主張を覆すのに十分な資料を有しているか。 - 経済的に見合うかどうか
⇒時間、金銭的コストを上回る利益をあげられるか。 - 勝訴し判決を得て、回収の見込みがあるか
⇒相手方に回収可能なだけの財産があるか。 - 仮差押えの要否等
⇒仮差押えや仮処分をするだけで支払ってくることもある。
などが挙げられます。
これらを考慮したうえで、訴訟を利用すべきかを判断することになります。その際には専門的な視点から判断することが必要ですので、弁護士に相談することをお勧めします。そして、訴訟を利用するときまった場合は、より専門的な手続きとなりますので、引き続き弁護士にご依頼するべきと思われます。
手続きの内容および費用
- 裁判所
請求額が140万円以下の場合は簡易裁判所、140万円を超える場合には地方裁判所に訴訟を提起します。また、場所としては請求先(被告)の住所地の裁判所とするのが原則ですが、債務の履行地の裁判所とすることも可能ですので、請求者側(原告)の住所地の裁判所とすることも可能であることが多いです。 - 手続き
裁判所に訴状を提出することから始まります。その後しばらくすると被告側から答弁書が提出されます。そして、しばらくは双方が主張内容を書面(準備書面と言います。)にして証拠とともに提出することが繰り返されます。およそ1か月ごとに双方の準備書面が提出されることになります。それを通じて争点を絞り込み、必要があれば証人尋問をして、裁判所が最終判断としての判決をする、というのが基本的な流れです。判決が得られればそれを債務名義として強制執行に進みます。
また場合によっては、裁判所が和解を勧めることがあります。これは、判決と同様に債務名義としての効力を持ちます。また、相手方に財産がない場合などは判決により強制執行しても空振りとなる危険性がありますが、和解の場合はそのような事情も考慮されますので、危険性は低くなる場合が多くなります。その他、勝訴可能性などを考慮したうえで和解案を検討していくことになります。
なお、弁護士に依頼した場合は、以上の手続きは弁護士が依頼者とその都度相談しながら進めていくことになります。 - 費用
訴訟を提起するにあたっては、請求額や裁判所に応じて収入印紙や郵券などをあらかじめ裁判所に提出することが必要です。収入印紙の額については裁判所のホームページから確認することができます。また、弁護士に手続きを依頼する場合、個々の弁護士との契約に応じて弁護士費用がかかります。
訴訟を利用するにあたっては、そのような費用を念頭において、コストパフォーマンスを検討することが必要です。