2.2 和解契約の締結

2.2 和解契約の締結中小企業債権回収119番

問い 長期分割の返済の申入れを受けました。これを認めるにしても、確実に返済してもらいたいと思っています。どのような手段がとれますか?
答え 期限の利益喪失に関する合意、新たな担保・保証人の徴求、公正証書による合意といった手段が考えられます。

分割弁済の申し出

債権回収の場面では、債務者から、一括弁済は難しいため分割弁済を認めてほしい旨の打診がなされることがあります。

対応

一括弁済が難しいからと言って直ちに訴訟を起こしたとしても、手間と費用と時間がかかりますし、強制執行を行ったとしても回収できるとは限りません。債務者が自主的に返済をするのであればそれに越したことはないのです。
他方、分割弁済は回収に時間がかかりますし、途中で債務者の財産状態が悪化した結果、途中で回収ができなくなってしまうことも考えられます。したがって、分割弁済に応じるのであれば、それと引換えに、弁済を確実にする条件を飲ませる必要があります。
まず、債務弁済契約書を作成し、署名させることが必要です。債務者に債務の存在を認めさせ、いつ、いくらずつ支払うのかを明らかにさせます。これにより消滅時効を中断させられるとともに、後日訴訟になった際の証拠とすることができます。

和解契約の締結

<契約の内容としては、分割弁済を怠った場合には残りの分割金を一括弁済してもらう旨の合意(期限の利益喪失に関する合意)は欠かすことができません。
また、債務者が弁済できなくなっても回収できるようにするとともに、弁済に関するプレッシャーをかけるために、新たな担保や保証人を徴求することが考えられます。
さらに、債務者が弁済を怠った場合には、すぐに強制執行に着手できるよう、債務名義をとっておくことも考えられます。具体的には、執行認諾文言付きの公正証書(執行証書)を作成したり、即決和解の形をとって調書にしたりすることが考えられます。
これらは債務者にとっては不利な内容ですが、分割払いという利益と引換えであれば応じてくることも少なくありません。これらの方策をとることにより、返済の確実性を上げることができることでしょう。

(弁護士 太田 理映)