債権を回収する手段
例えば、あなたが納入した商品の代金請求権は、金銭債権です。金銭債権について請求書を送ったにもかかわらず、期限にまでに債務者から支払いが無い場合、この債権を回収するにはどうすればよいでしょうか。
債権を回収する手段としては大きく交渉によって任意に回収する方法と法的手続きによって強制的に回収する方法があります。法的回収手段としては、仮差押、支払督促、訴訟等ありますが、詳細については後の機会に解説する予定です。法的手続きによる回収を望む場合は、専門技術性および迅速性の観点から弁護士に依頼することが適切でしょう。どのような法的手続を選択するかについては、弁護士に相談のうえ決定することになります。
ここでは、上記手段とは別に、そもそも、弁護士に依頼するかそれとも自ら請求して回収するかについて検討します。
回収計画の立案
自ら回収するか、弁護士に依頼するかの判断にあたってはそれぞれのメリットとデメリットを知る必要があります。
自ら請求する場合は、債務者に対して未払であることを通知して請求するとともに、その支払いが無い理由、言い分を聞くことになります。単なる事務手続上のミスであることがわかれば、その後の支払いを待って解決ということになります。そのため、軽微な問題にすぎず、相手方が最終的に任意に全額支払ってくれれば自ら回収のために行動した方が特段の費用を要せず簡易迅速に債権を回収することがでるメリットがあります。
しかし、債務者に支払いのための資金が無く倒産間近である等の深刻な事情により、任意に支払いが無い場合は、結局何らの回収もできずに徒労に終わることになりかねません。また、せっかく債務者と交渉して合意したにもかかわらず、履行されないことがあるかもしれません。
弁護士に依頼した場合は、法的手続きを見据えて強力かつ速やかに交渉を進めることができます。また、内容証明郵便等によって弁護士から請求すると、法的手続きを採るまでもなく、速やかに支払われて解決するということもしばしばあります。
もちろん弁護士に依頼するには費用がかかりますが、自ら請求して回収するための手間や回収の可能性と比較して検討してください。
どちらを選ぶか、迷ったら法律相談してみる
特に自ら請求するか、弁護士に依頼するかについて決定する基準としては、様々考えられます。一般的には、未払いとなっている債権額、債務の支払いがなされない理由、費用対効果、法的手続きの必要性、相手方との過去の取引経過や将来の取引関係等々です。また、仮差押えや仮処分を採るべき場合であることが分かっているは、スピードと正確性が肝心ですので、弁護士に依頼することになります。
債権が多額で、交渉もスムーズにいかない場合は早めに弁護士に法律相談するのがベストですが、そのような状況に無くても、法的手続きは多様な者が用意されているので迷ったら法律相談してみるのがよいでしょう。もちろん、法律相談を受けて、自ら請求するということもできます。
(弁護士 大河内 將貴)