3.6 監視・継続的労働従事者 ―労働時間・休日の規制の適用除外

3.6 監視・継続的労働従事者 ―労働時間・休日の規制の適用除外社長のための残業代対策119番

監視・継続的労働従事者 とは

労働基準法の定める労働時間・休日の規定(労働基準法32条、34条、35条)が適用されず、残業代の支払われない例外的な場合があります。

  1. 農業、畜産・水産業に従事する者(同法41条1号)
  2. 管理監督者機密の事務を取り扱う者(同条2号)
  3. 監視・断続労働従事者(同条3号)

の三号に該当する者ですが、ここでは、「監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの」(同条3号)、いわゆる 監視・継続的労働従事者 について説明します。

 

「監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの」に該当する場合には、労働基準法に基づく、時間外労働の問題やこれに対する割増賃金の問題、休日労働に関する問題やこれに対する割増賃金の問題は生じません(ただし、契約等で別の定めがあれば、それに従うこととなります。)。

 

監視に従事する者とは

通達では、監視に従事する者とは、原則として一定部署に在って監視するのを本来の業務とし、常態として身体または精神緊張の少ないものの意であるとされています。さらに、通達は、次のような業務に従事する者は、ここでいう監視に従事する者に該当しないとしています(昭和23年9月13日発基第17号、昭和63年3月14日基発第150号)。

  1. 交通関係の監視、車両誘導を行う駐車場等の監視等、精神的緊張の高い業務
  2. プラント等における計器類を常態として監視する業務
  3. 危険または有害な場所における業務

 

断続的労働に従事する者とは

通達は、断続的労働に従事する者とは、休憩時間は少ないが、手持ち時間が多い者と意味するものであるとしています(昭和22年9月13日発元第17号)。

行政官庁の許可について

使用者は、その労働者が「監視又は断続的労働に従事する者」に該当する場合に、労働時間等に関する規定の適用を免れるためには、「行政官庁の許可」を受けなければなりません(労働基準法41条3号)。

具体的には、所定の書式により、所轄の労働基準監督署長から許可を受けることになります(労働基準法施行規則34条)。

書式(許可申請書)は、厚生労働省のホームページ上で公開されています。

派遣労働者については、派遣先が許可を申請します(労派遣44条2項)。

深夜割増賃金及び年次有給休暇について

ただし、上記のような者に該当する場合であっても、深夜に関する規定は適用されますので、その割増賃金の問題は生じます。

また、年次有給休暇に関する規定も適用されます。

(弁護士 佐藤哲平)