労働基準法の定める労働時間・休日の規定(労働基準法32条、34条、35条)が適用されず、残業代の支払われない例外的な場合があります。
- 農業、畜産・水産業に従事する者(同法41条1号)
- 管理監督者、機密の事務を取り扱う者(同条2号)
- 監視・断続労働従事者(同条3号)
の三者ですが、ここでは、1号の「農業、畜産・水産業に従事する者」、いわゆる農業等の従事者 について説明します。
農業等の従事者
労働基準法32条から41条,56条から68条に定める労働時間,休憩及び休日に関する規定は,
- 土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植,栽培,採取若しくは伐採の事業その他農林の事業(ただし,林業を除く。)に従事する者
- 動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他の畜産,養蚕又は水産の事業に従事する者
等には適用されません(労働基準法41条1号等)。
これらの者に該当する場合には,労働基準法に基づく,時間外労働の問題やこれに対する割増賃金の問題,休日労働に関する問題やこれに対する割増賃金の問題は生じません(ただし,契約等で別の定めがあれば,それに従うこととなります。)。
農業や畜産業等は,天候等の自然条件に大きく左右されることから,労働時間等の定めが適用されないものといわれています。
深夜割増賃金及び年次有給休暇について
ただし,上記のような者に該当する場合であっても,深夜に関する規定は適用されますので,その割増賃金の問題は生じます。
また,年次有給休暇に関する規定も適用されます。
(弁護士 佐藤哲平)