労務リスク対策

社労士の方が講師の勉強会に参加しました。テーマは「労務リスク対策」。

労基署等で行われている総合労働相談への相談件数は、1年間で約100万件と非常に多くなっています。相談内容は、いじめ・嫌がらせがトップで次が解雇。

今回は、社労士の方が関わった具体的な事例を題材に、会社としてどのような問題点があったのか、どう対処したのか、そしてリスクを減らすにはどうすれば良いかを中心にお話しいただきました。

中でも印象的だったのは、トラブルが起きるケースは必ず感情的なもつれがある、労務管理は人対人の部分が大きいので、日頃のコミュニケーションが非常に重要という点です。
労務関係のルールや基準については、労働基準法を中心に法律で決められている部分が多いので、法律に従ってある程度ドライに決めておけば足りると思われがちですが、やはりどのような場面でもそうですが、人と人との関係が重要ということです。

中小企業では、労務リスクについて対策を講じていない会社も多く、いったんトラブルになると痛い目に遭うケースも多いです。
社員とのコミュニケーション向上も含めて、労務について普段から専門家に相談しておくことで、リスクの軽減が図れると思います。

 

中小企業専門家育成講座(第三者承継の基礎)

私が所属する弁護士業務改革委員会中小企業部会による中小企業専門家育成講座が始まりました。今回は「第三者承継の基礎」。講師は池内稚利弁護士でした。

中小企業経営者の高齢化が進む中、少子化等の影響から、親族内で後継者を確保することが難しくなってきており、M&A等による事業承継の必要性が高まっています。

中小企業庁も、今年4月に「事業引継ぎガイドライン」を策定する等、政策として力を入れている分野です。

今回の講義は、中小企業におけるM&Aのニーズの高まりを受けて、弁護士が関わる際の基本的な知識と注意点を学ぶことがメインでした。

中小企業のM&Aでは、会社と経営者の資産が明確に区別されていない等の中小企業特有の問題点が顕在化することがあるため、注意が必要です。

これまでは、売り手と買い手のマッチングに仲介業者が入るケースが多く、弁護士が関与するケースは多くはありませんでしたが、譲渡後のトラブルを防止する意味においても、弁護士が法務面の調査だけでなく、アドバイザーとしての役割を果たすことが求められているといえます。

 

調停人養成講座

私も所属している日本仲裁人協会主催の調停人養成講座入門編を受講しました。講師は、元裁判官で家庭裁判所の事件を多く取り扱ってきた上原裕之弁護士でした。

タイトルは「調停における臨床力」。

当事者のニーズを見つける、当事者の思いや気持ちを受けとめ、問題を共有してともに悩んでいく、知識やマニュアルは頭を使わない、当事者と共同作業しながら問題を乗り越えていくための方策を考える、などなど盛りだくさんの内容でした。

法律家は知識があることで、目の前のケースについて、法律だとこうなるとか、裁判になるとこういう判断になるというある程度の予測から、調停の場でもその結論に導こうとしてしまいがち。それでは、当事者が納得する実のある話し合いはできないと思います。

私は家裁等での調停委員の経験はありませんが、調停の申立代理人になることはあります。個人的な感想ですが、これまで出会った調停委員で、「素晴らしい調停委員だな」と思った人は今のところいません笑。中には、話をきちんと聞いてくれてないと感じてしまう人もいます。

対立する当事者双方の話を聞き、解決の糸口を探していく調停人の仕事は、苦労することも多いだろうなと感じています。

今回、この講座を受講したのは、私が事件管理者として携わっている立教大学観光ADRの職務に役立てばということと、将来機会があれば調停委員をやることも少し考えているからです。

今日の上原弁護士の話は、小手先のテクニックではなく、調停人としてのマインドや姿勢について、基本的かつ重要な事柄でしたので、大変勉強になりました。

なお、上原弁護士によると、「知識はいったん記憶した上で、その後無意識化させるのがよい。したがって、本日の話も忘れることが望ましい。」とのことです笑。

 

 

犯罪被害者支援弁護士フォーラムシンポジウム

犯罪被害者支援弁護士フォーラムのシンポジウム無事に終了しました。
会場は日比谷図書文化館大ホールでしたが、立見の方も出るほど大盛況となりました。

上川陽子法務大臣の祝辞から始まり、被害者遺族の方らによる基調講演、パネルディスカッションと盛りだくさんの内容でした。

今回のテーマは「裁判員裁判の問題」で、遺体写真を証拠として採用しない裁判所の運用についての問題と裁判員裁判の死刑判決が高裁で破棄され、最高裁も高裁の判断を支持した問題を扱いました。

遺体写真の証拠制限については、写真の証拠としての価値、立証趣旨との関係で写真を取り調べる必要性、裁判員の精神的負担への配慮等について議論がなされました。

また、裁判員裁判の死刑判決破棄の問題については、裁判員裁判の意義、死刑判決の基準、計画性の有無による量刑の変化、刑罰の公平性、裁判官だけの裁判時代の先例を重視する不合理性等について意見が交わされました。

会場からも多くの意見が出され、会場が一体となってその問題について考えるという熱い雰囲気の中シンポが進みました。

遺体写真の証拠制限の問題については、裁判員への負担を過度に気にしすぎるあまり、刑事訴訟法の目的である真実発見がないがしろにされていると思います。

また、裁判員裁判での死刑判決が破棄されたことについては、市民感覚を反映することによって司法に対する国民の理解と信頼を深めるという裁判員裁判を導入した意義を否定するものであって、事案の内容を考えても無期懲役の判断は大多数の国民の理解を得られるものではないと考えます。

シンポジウムの司会は初めての経験でしたが、ただしゃべるだけではなく、段取りの重要性や、突発的な出来事に対応する瞬発力が求められることを体感し、良い経験になりました。

税理士・中小企業診断士との勉強会

ご縁もあり、定期的に税理士・中小企業診断士と勉強会を開催しています。

今日は私が講師として、「自己破産」をテーマに発表し、その後、質疑応答、意見交換をしました。自己破産のメリット・デメリット、手続の概要を中心に話しをしました。他士業の方々にとっては、自己破産の手続はあまり馴染みがないこともあり、実務を踏まえた話は興味深く聞いてもらえたかと思います。

会社をより良くしていくには、財務、経営、法務の専門家が連携して、それぞれの専門分野で知恵を出し合うことが重要だと考えています。

それぞれの立場の実務の経験やノウハウを発表し、意見交換できる勉強会は非常に有意義な機会ですので、これからもご縁に感謝しながら、続けていきたいと思います。

 

 

立教大学観光ADRセンター

立教大学には観光ADRセンターが設置されています。

ADRとは、Alternative Dispute Resolution の略称で、民事の法的紛争を訴訟以外の手段で解決する方法のことをいいます。要するに話し合いですね。

観光ADRセンターは、旅行や宿泊に関するトラブルの解決を目指して、2012年に法務大臣から認証を受け、活動しています。
私は、同センターの事件管理者という立場で、主に相談者からの相談を受けたり、ADR申立てをサポートしたりする業務をしています。

「都市を巡るパック旅行だったのに、途中悪天候で全てをまわれなかった」
「予約していた部屋と違うタイプの部屋に通され、変更できなかった」など

旅行や宿泊に関するトラブルは、少なくない頻度で発生していると思われます。

しかし、金額的に高額なケースは多くなく、弁護士に依頼して裁判までするとなると費用倒れになってしまうおそれがあり、消費者が泣き寝入りしてしまうケースも多いのが現状です。
一方で、事業者側もトラブルを抱えたままのリスクを考えると、話し合いによって解決することを望む場合も多いといえます。

そこで、観光ADRセンターは、旅行・宿泊分野に詳しい公平な第三者である調停人が間に入って、話し合いをして解決を目指す場所として利用されています。

費用は、事件管理者である弁護士への相談は無料で、ADRを申し立てる場合は手数料として5000円がかかります。

ご興味のある方はぜひご利用ください。

立教大学観光ADRセンター

  • TEL:03-3985-4650
  • 電話受付:毎週月曜日~金曜日 10:00~12:00/13:00~17:00

新年のご挨拶

謹んで新年のお慶びを申し上げます。
旧年中は格別のご高配を賜り、心よりお礼申し上げます。

昨年は、5月に新事務所を開設いたしました。
開設後は、個人や中小企業のお客様からの通常業務に加え、会社法関連の書籍執筆や税理士・中小企業診断士といった他士業との勉強会等の活動を行ってまいりました。
新しい環境での業務となり、バタバタしてしまう場面もあったかと思いますが、皆様に支えていただき、無事に新年を迎えることができました。

今年は、昨年にも増して地に足をつけて業務に取り組むとともに、新たな分野にも積極的に挑戦しようと思っております。
皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げるとともに、皆様のお力になれるようより一層精進してまいりますので、今後ともご指導ご鞭撻の程、何卒宜しくお願い申し上げます。

 

相続落語

昨日はちょっとしたご縁で「相続落語」という催し物に出かけてきました。

桂ひな太郎さんの落語と相続についての税理士による解説の二部構成で、楽しみながら勉強してきました。

落語家さんの話し方は、引き込まれて情景が浮かぶようでさすがプロ、少しでも見習いたいです。
第2部は、来年からの課税強化を控えての相続対策について。自分の想いを家族に伝えたり、争いを予防したりするための遺言の重要性など分かりやすい解説でした。

相続はいつ始まるか分からないために、準備や対策が後回しになりがち。
慌てないためにもまずは早めに専門家に相談することをおすすめします。

セクハラ・パワハラ対策セミナー

昨日は日本政策金融公庫と弁護士会共催の経営者向け法律セミナーに相談担当として参加してきました。テーマは、「セクハラ・パワハラ対策」と「退職勧奨」。
特にセクハラ・パワハラ関連は最近ホットなトピックですね。

社員が自分の身を守るために知識をつけることも大切だと思いますが、経営側も考え方の枠組みを知っておくだけでも、トラブル防止にかなり役立つと思います。

例えば、問題のある社員をいきなり解雇したら、あとから解雇無効や在職中の残業代を請求する内容証明が届いたなんていうケースは少なくありません。

この社員に辞めてもらいたい、人件費が経営を圧迫していてなんとかしたいというような場合、具体的に行動を起こす前にまず専門家に相談してみる。
将来の会社のビジョンや事業計画などをお聞きして、ある程度長期的なスパンを考えて、じゃあ今どうすべきか、どういう手順を踏んでいくかという視点からアドバイスが可能です。

「~が起こってしまいました。どうしたらいいでしょうか。」ではなく、
「~について考えているのですが、どのようにしていけばいいでしょうか。」
の段階でお話しいただき、長くお付き合いしながら、会社を良くする方向に共に
進んでいく形が望ましいと感じています。