会場は日比谷図書文化館大ホールでしたが、立見の方も出るほど大盛況となりました。
上川陽子法務大臣の祝辞から始まり、被害者遺族の方らによる基調講演、パネルディスカッションと盛りだくさんの内容でした。
今回のテーマは「裁判員裁判の問題」で、遺体写真を証拠として採用しない裁判所の運用についての問題と裁判員裁判の死刑判決が高裁で破棄され、最高裁も高裁の判断を支持した問題を扱いました。
遺体写真の証拠制限については、写真の証拠としての価値、立証趣旨との関係で写真を取り調べる必要性、裁判員の精神的負担への配慮等について議論がなされました。
また、裁判員裁判の死刑判決破棄の問題については、裁判員裁判の意義、死刑判決の基準、計画性の有無による量刑の変化、刑罰の公平性、裁判官だけの裁判時代の先例を重視する不合理性等について意見が交わされました。
会場からも多くの意見が出され、会場が一体となってその問題について考えるという熱い雰囲気の中シンポが進みました。
遺体写真の証拠制限の問題については、裁判員への負担を過度に気にしすぎるあまり、刑事訴訟法の目的である真実発見がないがしろにされていると思います。
また、裁判員裁判での死刑判決が破棄されたことについては、市民感覚を反映することによって司法に対する国民の理解と信頼を深めるという裁判員裁判を導入した意義を否定するものであって、事案の内容を考えても無期懲役の判断は大多数の国民の理解を得られるものではないと考えます。
シンポジウムの司会は初めての経験でしたが、ただしゃべるだけではなく、段取りの重要性や、突発的な出来事に対応する瞬発力が求められることを体感し、良い経験になりました。