今回は、帝国データバンクによる「後継者問題に関する企業の実態調査」を紹介します。調査結果の概要は以下のとおりです。
- 国内企業の3分の2が後継者が不在
- 社長の年齢が「60歳代」の企業では半数が後継者不在
- 後継者のいる企業における後継者の属性は、「子供」「配偶者」「親族」と合わせ同族が約7割
- 2012年度以降の社長交代率は10.8%。「建設業」「小売業」「売上高1億円未満」の企業で承継進まず。
- 企業のキャッシュを生む力は、不在企業が後継者あり企業の半分以下。社長の高齢化に伴い事業価値が低下
以上で特に興味深いのは、5点目の後継者不在の企業はそうでない企業と比べて収益力が低い企業が多い旨の調査結果です。この結果が価値のある企業であったにもかかわらず、後継者の決定が遅れたために現経営者が高齢化して企業の収益性が落ち、ますます後継者の決定が困難になる、という悪循環に陥るおそれもあることを示すものと断じることはできませんが、現経営者がまだまだ若いと感じる年代であっても、できるだけ早期の事業承継対策が講じる必要性を示すものとはいえるのではないでしょうか。
(弁護士大河内將貴)