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賃料自動改定特約と賃料増減額請求

借地の賃料増額請求については、契約条項の中で固定資産評価額の評価替えの時期に同評価額と賃料の額を連動させて決めるなどと規定する賃料自動改定特約を定めることが珍しくありません。

では、賃料自動改定特約があることから、同条項によらない賃料増減額ができないのか、すなわち賃料自動改定特約によって事実上賃料増減額請求を排除できるのかというと、判例はこれを否定しています(最判昭和31.5.15民集10巻5号496頁、最判昭和56.4.20民集35巻3号656頁、最判平成15.6.12民集57巻6号595頁)。

よって、賃料自動改定特約を定めたとしても、それとは別途当事者による賃料増減額請求が認められることになります。

次に、一般的には賃料増減額の当否及び相当賃料額を決めるにあたっては、直近の合意賃料から、賃料増額請求がなされた時期までの経済的事情の変動等を考慮することになりますが、賃料自動改定特約によって新賃料が定められている場合、新賃料が定められたときまでの経済的事情の変動を考慮の対象から除外できるかを争った事例があります。もし,上記の主張通り新賃料が定められたときまでの経済的事情の変動を除外できるとすると,賃料自動改定特約がある場合,賃料増減額の幅はかなり狭い範囲に限定されることになる可能性が高くなります。

結論から言うと最高裁は,「賃料自動改定特約は、賃貸借契約締結時における将来の経済事情等の予測に基づくものであり、自動増額時の経済事情等の下での相当な純賃料として当事者が現実に合意したものではない」と判示し(最判平成20.2.29),賃料自動改定特約によって新賃料が定められたときまでの経済的事情の変動を考慮の対象から除外することはできないと判断しています。

よって,賃料自動改定特約が存在したとしても、上記判断に当たっては、同特約に拘束されることはなく、上記諸般の事情の一つとして、同特約の存在や、同特約が定められるに至った経緯等が考慮の対象となるにすぎないことになります。