「 ツマミグイ 」赤坂見附店閉店についてのマーケティング的分析

「 ツマミグイ 」赤坂見附店閉店についてのマーケティング的分析

約9か月で閉店

回転寿司で有名な「スシロー」の新業態「ツマミグイ」赤坂見附店が、2016年3月25日で閉店しました。開店したのが2015年6月19日なので、約9か月で閉店したことになります。

この店は事務所から歩いてすぐの場所にあったので、いつも目には入っていましたが、私自身一度も入ることはなくいつも空いているように見えたので、大丈夫かなと心配していたのですが、やっぱり閉店してしまいました。

赤坂見附は飲食店が多く激戦区だとは思います。ただ、閉店までが非常に早かったため、その原因について分析してみたくなり、今回はマーケティングの視点から考えてみようと思います。

マインドフロー

今回は「マインドフロー」というツールを使って分析してみます。

マインドフロー」は、マーケティングコンサルティング会社代表で中小企業診断士の佐藤義典氏が考案したマーケティングのツールです。

佐藤氏は、お客がファンになるまでには7つの関門があるとして、どこかの関門で止まってしまうときには、その商品を買わないしファンにならないとしています。

なお、私は佐藤氏のことを、『ドリルを売るには穴を売れ』という本で知って、今ではメーリングリストも購読しているファンの一人です。

7つの関門

①認知:知らなければ興味も持たない

②興味:興味がなければ無視するか忘れる

③行動:ネットで検索したり、資料請求する

④比較:値段や性能などを他と比べて、勝ってなければ買わない

⑤購買:比較した結果買ってみる

⑥利用:食べ方・使い方がよく分からなかったら使わない

⑦愛情:リピーターになったり友達に勧める

普段みなさんが何かを買ったり食べたりする場合、必ずと言っていいほど、この流れを踏んでいると思います。

私も、例えば飲み会の幹事になった場合、普段から見かけていて気になっているお店(①認知・②興味)があって、そこにしようかなと思った場合、そのお店をネットで検索して(③行動)、食べログなどのサイトでクチコミや評価を他と比べて(④比較)、良さそうなら使ってみて(⑤購買・⑥利用)、満足したらまたの機会に使ってみたり友達に「あそこよかったよ」と話したりしています(⑦愛情)。

「 ツマミグイ 」赤坂見附店の場合

以下は私個人が感じた「マインドフロー」です。

①認知:普段から店の前を通っていて、あることは知っていた→〇

②興味:新しくできたので、どんなお店なんだろうと興味をもった→〇

③行動:ネットで検索してみたら、「スシロー」の新業態だということが分かった。「スシローってこんな店も出してるんだ」、一度ランチで行ってみたくなった→〇

④比較:お店の前のランチメニューを見てみたら、一番安くて900円(税別)であとは1200円(税別)と1500円(税別)。正直すごく高く感じた。
また、お店の中を見てみると、道路から奥まっているからか、暗くて入りずらい雰囲気で、入る気がしなかった→× ※写真は閉店後
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改善するなら?

以上私の場合ですが、「マインドフロー」の④比較の関門で止まってしまいました。

では改善点ですが、まずは値段設定。
確かに「 ツマミグイ 」赤坂見附店近くに、少なくとも私は寿司屋があることを知らないので、お寿司を食べたい人にとっては③興味まではたどり着くのかもしれませんが、周辺のランチの値段設定は大体が900円以下です。
「寿司」というジャンルで考えればそこまで高くないのかもしれませんが、「赤坂見附でのランチ」という「戦場」では高さが際立ってしまっています。

次に立地。
赤坂見附駅からは歩いて1分ほどなので場所としてはOK。
ただ、道路から店に入るまでに少し歩かなくてはいけないのは面倒くさいし、道路から店の中が見えづらいのは入るのにけっこう勇気がいります。
内装にはこだわっていて高級な雰囲気だったようなので、道路を歩いていても中の雰囲気が分かる立地の方が良いと思います。

弁護士業界にも当てはまる

以上、近所に事務所を構える弁護士による分析でしたが、「マインドフロー」の考え方は、弁護士を選ぶ際にも当てはまると思います。

知り合いなどの紹介であれば、①認知、②興味、③行動くらいまでは止まらずに進むかもしれませんが、一から弁護士を探す場合、まずは①認知から始まります。

また、実際に仕事を依頼して(⑤購買、⑥利用)みたけれど、対応に満足できなかった場合は、⑦愛情の部分で止まってしまい、また頼んだり誰かに紹介しようとは思わないでしょう。

今回は身近な飲食店を題材にしましたが、私自身の業務についても常に「マインドフロー」のどこかで止まってはいないか考えていこうと思います。