2.6 変形労働時間制 とは? ー法定労働時間枠の特則1


変形労働時間制 とは? ー中小企業残業代119番さて、前回までは、労働時間と言えるかどうか微妙なケースを見てきましたが、今回からは、労働時間の定め方をした場合について見ていきましょう。

変形労働時間制 とは

通常、法定労働時間は1日8時間、週40時間(業種によっては44時間)、1か月(30日)177.1時間とされていますが、業務内容によっては、夏が忙しく冬は暇であったり、月末は忙しいが月初は暇であったりする場合があります。

そこで、期間内の法定労働時間の総枠内において、特定の日や週のみ労働時間を増やしたいということが生じ、そのような要請に応えるのが変形労働時間制 になります。

変形労働時間制とは、単位となる期間内の法定労働時間の総枠内において、特定の日や週につき、法定労働時間を超えた所定労働時間を定めても、法定労働時間外の労働時間とは扱わない制度をいいます。たとえば、特定の日や特定の週については、1日8時間以上、1週間40時間以上の所定労働時間を定めても、変形労働時間制の要件を遵守する限り、残業代を支払う必要がなくなります。単位となる期間は、1年、1か月、1週間の3種類があります。

年少者、妊産婦、 育児・介護等の特別の配慮を要する者については、保護のため適用が制限されます。

1年単位の変形労働時間制

特定の季節や月単位で、業務の繁閑があるような業種の場合には、1年単位の労働時間制を導入することで、閑散期の月の所定労働時間を短くして、その分繁忙期の月の所定労働時間を長くすることで時間外労働時間を減らすことができます。

ただし、労働者保護のため、1日や1週間の労働時間に上限があり、就業規則の定めと労使協定の締結の双方が必要となるなど、複雑な規制があります。

1か月単位の変形労働時間制

1か月の中で日によって業務の繁閑があるような場合には(たとえば、毎月月末はとても忙しいのに対し、月初になるとそこまで忙しくない業態であるなど)、1ヶ月単位の変形労働時間制が適しています。

変形労働時間制は、単位期間の定めごとに導入の要件が異なりますが、1ヶ月単位の変形労働時間制は、3種類の変形労働時間制の中で最もスタンダードな形態で、他の2種類(1年単位、1週間単位)の制度に比べて導入要件は緩やかになっています。

単位期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間を超えないように定めるのがポイントです。

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1週間単位の変形労働時間制

小売業、旅館業、飲食店などで、1週間の中で日ごとの業務に著しい繁閑の差が生じ、あらかじめそのことを予測して就業規則等で各日の所定労働時間を特定することが難しい場合には、1週間単位の変形労働時間制が適しています。

1週間単位の変形労働時間制の導入には、対象職種が限定されており、就業規則の定めと労使協定の締結の双方が必要となります。

業務形態

経営者としては、変形労働時間制 を導入する場合には、自己の会社に最も適した制度を専門家と相談して決める必要があります。

(弁護士 西尾雄一郎)