2.3 健康診断の受診義務と労働時間


2.3 健康診断の受診義務と労働時間 – 中小企業残業代119番

定期健康診断と特殊健康診断

使用者が労働者に受診を命じる健康診断の類型は、定期健康診断(安衛法66条1項)や特殊健康診断(同法66条2項・3項)などがあります。

  • 定期健康診断は労働安全衛生法で定められている事業所が年1回、社員等に実施しなければならない健康診断をいいます。
  • 特殊健康診断とは、法令で定められた業務または特定の物質を取り扱う労働者を対象にした健康診断です。

特殊健康診断の例としては、粉じん作業に従事または従事した労働者に対しては、①就業時 ②定期 ③定期外 ④離職時に、健康診断をしなければなりません(じん肺健康診断)。法令で定められているものとしては、そのほかにも、高気圧作業健康診断、有機溶剤中毒予防健康診断、電離放射線健康診断などがあります。 また、法律で定められた業務以外でも、健康に影響を及ぼすおそれのある有害業務については、行政指導により特殊健康診断を実施することが義務づけられています。特記したものを除き、6か月に1回の健康診断を実施する必要があります。詳しくは通達をご確認下さい。

健康診断を受診する時間の労働時間性

この点、厚生労働省の通達は、

定期健康診断(一般健康診断)を受診する際の賃金支払義務について、「労働者一般に対して行われる、いわゆる一般健康診断は、一般的な健康確保をはかることを目的として事業者にその実施義務を課したものであり、業務遂行に関連して行われるものではないので、その受診した時間については、当然には事業者の負担とすべきものではない」(昭47.9.18基発602号)と述べています。

他方、同通達は特殊健康診断について

「事業遂行にからんで当然実施されなければならない性格のものであり、それは所定労働時間に行われることを原則とすること。また、特殊健康診断に要する時間は労働時間と解されるので、当該健康診断が時間外に行われた場合には、当然割増賃金を支払わなければならない」

と述べています。
(弁護士 西尾雄一郎)