1.1 1時間当たりの賃金額の計算方法


1時間当たりの賃金額の計算方法 -中小企業残業代119番「はじめに」で述べたように、残業代は、残業時間(または休日労働時間ないし深夜労働時間)に1時間当たりの賃金額を乗じ、それに対して割増率を掛けることによって算定されます。何が残業時間にあたるのかの問題もありますが、まずは、「1時間当たりの賃金額」の計算方法を見てみることにしましょう。

1時間当たりの賃金額の計算方法

労働基準法は、時間外労働、休日労働又は深夜労働の割増賃金を計算するにあたって、以下の方法により1時間当たりの賃金額を計算するものと定めています(労働基準法37条1項)。

給料制 計算方法
時間制 その金額
日給制 その金額を一日の所定労働時間数で割った金額。但し、日によって所定労働時間数が異なる場合には、1週間における1日の平均所定労働時間数で割る。
週給制 その金額を週の所定労働時間数で割った金額。但し、週によって所定労働時間数が異なる場合には、4週間における1週の平均所定労働時間数で割る。
月給制 その金額を月の所定労働時間数で割った金額。但し、月によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1月の平均所定労働時間数で割る。
週、月以外の期間によって定められた賃金 その金額をその期間の所定労働時間数で割った金額
出来高払制等 賃金締切期間の賃金総額をその期間の総労働時間数で割った金額

※二つ以上の方法で給料を支給している場合には、それぞれ算定した金額の合計額

ほとんどの会社の就業規則によると、月によって所定労働時間数が異なる場合にあたるため、月給を、1年間における1か月あたりの平均所定労働時間で割ることになります。

具体的には、以下の計算方法により計算されることになります。

1月の平均所定労働時間

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1時間あたりの賃金額

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大まかな目安

このように、1時間あたりの賃金額を正確に計算するには、以外と面倒な計算をしなければなりません。しかし、残業代がだいたいいくらくらいなのか判断した上で、今後の対策を検討したいところです。そのために、おおまかな目安を知りたい場合には、1か月当たりの労働日数を21日として計算してみるとよいでしょう。

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平均賃金とは違うの?

賃金の支払いの場面では、平均賃金、すなわち、原則として事由の発生した日以前3か月間に、その労働者に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数(暦日数)で除した金額が使われる場面があります。例えば解雇予告手当や休業手当を計算する場合に用いられます。

この場合の計算は、3か月間の平均を計算しますが、残業代の算定にあたっては、1年間の平均労働時間をもとに計算していきます。これらの期間を混同しやすいので、注意しましょう。

「月給」とは?

このように、結局のところ月給を月の所定労働時間で割ることになるのですが、給与台帳に書かれている数字のうち、どの金額を月給として算定の基礎とすればいいのでしょうか。次回は、各種手当て等がこの月給に含まれるのかどうか、見ていくことにしましょう。

(弁護士 西尾雄一郎)