0 はじめに ‐残業代の基礎 を理解したい人のために


0 はじめに ‐残業代の基礎 を理解したい人のために – 中小企業残業代119番厚生労働省は「賃金不払残業の解消を図るために講ずべ き措置等に関する指針」を発表しており、いわゆるサービス残業は大きな社会問題になっています。不払い残業の解消をめざし、労使が協力して取り組むべき事項にはさまざまな事項があります。

そのような努力を続けていても、突如、残業代の支払いを請求する内容証明が届くことがあります

残業代の支払請求を受けた場合に、支払うべき金額を正しく計算するためには、いくつもの複雑な問題をクリアしなければならないことを知っていますか?さあ、一緒に残業代の基礎 を勉強しませんか?

給与計算ソフトがあれば大丈夫?

多くの会社では給与計算ソフトを使って給与計算をしています。エクセル等を利用したフリーのソフトを使っている人もいるかもしれません。有名な会社のソフトを使っているから、大丈夫とは限りません。

最新のソフトを使って法律の改正に対応しているかという問題だけでなく、前提となる知識が誤っていれば、入力すべき数値や設定方法を間違ってしまうこともあるからです。

逆に、前提となる知識さえしっかりしていれば、エクセルを使用しても計算してもかまわないわけです。極論すれば、手計算でもかまわないことになりますが、10進法ではなく、60進法でなければいけないなど予想以上に複雑なので、避けておいた方が無難でしょう。

では、どのような知識が必要なのでしょうか。

残業代とは?

まず、残業代といっても、労働基準法37条が割増賃金の支払を定めているのは、時間外労働、休日労働、深夜労働の3種類があります。

時間外労働とは、法定労働時間を超える労働をいいますが、法定労働時間と所定労働時間は必ずしも一致しません。所定労働時間を超えて労働しても、法定労働時間を超えていない場合には、割増賃金を支払う必要はありませんが、通常の労働時間の賃金を支払わなければならなりません。

月給制従業員の割増賃金の計算方法は?

残業代としての割増賃金は、残業時間に通常の労働時間又は労働日の賃金を掛けた金額に政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払うことになります。

月給制の従業員であれば、1時間当たりの賃金を計算し、これに残業時間と割増率を掛けることになります。この1時間当たりの賃金の計算は、所定労働時間を基準に計算しなければならず、単純に「1月あたり21日」として計算していいものではありません。

また、1時間当たりの賃金の計算にあたって、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当等各種手当てを含めるかどうかも問題があります。

割増率は?

割増率は、時間外労働と深夜労働の場合には25%以上、休日労働の場合には35%以上とされており、時間外労働が月60時間を超えた場合に適用される割増賃金率は50%以上とされています。

というと、簡単に計算できるようですが、具体的事案によっては労働基準法の具体的な適用が複雑になる場合があります。

法律上の問題点は?

争いようのない事実から、残業代として割増賃金を支払わざるを得ないとしても、消滅時効により支払わなくてよい金額があるのではないか、また、請求された付加金を支払わなければならないか等の法律上の問題点も検討する必要があります。

残業代の基礎 を理解するための知識を勉強しましょう。

このように、使用者側に立ってみると、労働者側が、法律上正しく残業代を計算しているのか、また、使用者側が支払を拒絶できる分があるのではないか等、きちんと理解した上で解決する必要があるのです。

これからしばらく、労働者側からの残業代の請求に対して根本的な対応を誤らないように、基礎的な知識を勉強していくことにしましょう。

まずは、残業代計算の根本になる、1時間当たりの賃金額の計算方法から見ていくことにしましょう。

弁護士 高澤文俊